氷と炎の歌 七王国の玉座

七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

WWIIのことを調べていて、歴史語りって実は普遍的に面白いのでは?と思っていたところでちょうど目に留まったのでハズレ覚悟で購入したけど、ハズレどころか、ファンタジーな上に権謀術数渦巻く大河小説で、正に読みたいものが読めた。さらに、登場人物がかなり多く、その上章ごとに人物の視点がコロコロ変わり、緻密な設定を断片的にしか説明せず、読んでる途中でどうしてもページを行ったり来たりしなくてはならないが、個人的にはこういう構成は大好きなのでむしろテンションが上がる。
ネットでこの本についての書評を見たりしていると、登場人物が多すぎて把握しきれないから読めなかったという人がいるみたいだけど、多分そういう人はページを行ったり来たりするという概念自体が無いのだろう。本を読むのが苦手という人は、本というものはなるべく一気に、頭から最後まで(あとがき除く)、キッチリストーリーと登場人物を把握して読み、最後にタイトルを思い出すという姿勢を持っている人が多いような気がする。逆に、結構読む人は意外と読書の姿勢というものは適当で、つまらない部分は飛ばしたり、そもそも律儀に最後まで読まなかったり、分からないところが出てきたら戻ってみたり、2,3日読んで、1ヶ月くらいほったらかしで、思い出したようにまた2,3日読んでみたりというように。この差というものは昔から疑問に思っていて、例えば音楽やマンガなんかだと、誰がどう読もうが勝手だという風潮なので、こういう雰囲気はあんまり無いけど、映画だとちょっとあって、感動できないとか感情移入できないと映画ではないとかというように規定してしまっている人がいるように思う。それで、小説になるとこれまでに書いたように、ガチガチに読書姿勢というものが規定されている人もいたりして、もしかしたら権威付けがされているジャンルほど、こういうメタな鑑賞姿勢というものがはっきり存在するのかもしれない。そんなものは邪魔なだけだと思うのだけれど。

あと、読み終わってから知ったのだけど、この七王国の玉座は世界中で売れていて、著者のジョージ・R・R・マーティンはその筋では結構有名な人らしい。