ブラック・ラグーン (4) (サンデーGXコミックス)

ブラック・ラグーン (4) (サンデーGXコミックス)

一読して、ああ、久保帯人はこういう漫画が描きたかったんだろうなあと思った。
主人公たちは主に東南アジアや南米で活動している運び屋で、作中では銃がぶっぱなされ、洒落た台詞が飛び交い、ありとあらゆる建物や車が吹っ飛び、血風呂(ブラッドバス)なんて単語があるくらい、人が死にまくる。絵柄も今風で読みやすく、すげえ上質に面白い漫画だ。

それで、実は、この漫画はすげえ上質に面白いのだが、上記の条件を満たしただけではすげえ上質に面白くはならない。せいぜい、銃を振り回している女の子がキレイカワイイで面白い止まりだ。

ちょっと考えてみたのだけれど、この漫画に存在する、ある一線を突破してしまった具合は、どうも登場人物たちが、生きることについて考えることができている、つまり、作中で作者が登場人物を介して、「生きる」こと、「死ぬ」ことを紋切り型に喋らせているのではなくて、実際に読んでいる時間の中で、ライブに考えているという所にある(決して結論が出ている訳ではなくて、本当に「考えること」ができているということ)のと、音楽家がどんな話をしていても音楽の話に収束するように、ビジネスマンがどんな話をしていてもビジネスの話に収束するように、この作者の頭の中がどうなっているのか分からないけれど、どんな話をしていても結局銃での殺し合いに話が収束するところにあると思う。ちなみに、舞台設定と登場人物の世界観の開陳があんまり関係無い漫画というのは結構多くて、そこが乖離しているとただの不幸自慢漫画になってしまうのだけれど。

こういう、作者が作品を通じて自己新を叩き出しているものが面白くない訳がなくて、最近読んだ本だとこういう突破具合はプラネテスが持っていて、個人的にはそれに匹敵しているくらい面白い。オススメ。