キングゲイナー

ブックオフでなんとなく手にとって立ち読みしたら、異様なレベルでの作画だったのでビックリした。無造作に描いてるけど、その無造作な線に一切の隙が無いというか、無駄がないというか。。こういう上手さはどのように言えばいいんだろうか、例えば最小の線で最大の効果を生んでいるというか。。水墨画のような雰囲気というとまたちょっと違うけど、ああいう描いていないところまできちんと雰囲気が行き渡ってる感覚は近いような気がする。そういう、達人のような雰囲気がある絵だった。
それで、ここまで上手い絵を描く中村嘉宏とは何者かと思って調べてみたら、エロ漫画家の胃之上奇嘉郎と同一人物だということでまたビックリした。しかも、その胃之上奇嘉郎の作品を検索すると同じWEBページに瓦敬助というこれまたエロ漫画家の作品があって、なんか絵に見覚えがあるなと思ったら瓦敬助三部けいのエロ用名義ということで三度ビックリした。

カミヤドリ

カミヤドリ(3) (角川コミックス・エース)

カミヤドリ(3) (角川コミックス・エース)

三部けいは、カミヤドリという漫画で知っていたのだけど、この作者は女の子を描く時に妙な情念がこもっていて、時々描かれた女の子からさっき言ったような達人っぽい気配がしていたので、よく覚えていた。でも決して絵だけという訳ではなく、ストーリーの方でも死と性、権力、罪、薬物なんかを扱っていて、非常に描く気マンマンといった感じだった。だったというのは、どうも打ち切りくらったらしく、しかも単行本の方も絶版になっているようだからなんだけど、個人的な評価としてはあまりにも過小評価されすぎというか、むしろその前段階で認知されてなさすぎな漫画なので、こんなところで宣伝したからどうということもないだろうけど、仮にアニメ化されてれば間違いなく爆発する程度には面白いと思うので、絶版だけど、お勧め。

こういうエロから一般に行った漫画家はやっぱり人体を描きまくってるから絵が上手いのかと思って、いくつか挙げてみると、大暮維人甘詰留太okamaあたりで、あと介錯とかぢたま某六道神士なんかもいるから、別にエロから一般に行く漫画家は死ぬほど絵が上手いという訳でもなかった。でもやっぱり、大暮維人の線とokamaの線は三部けいとか胃之上奇嘉郎の線と通じるようなところがあるように思うし、それはエロ出身の漫画家独特なもののように思うから、やっぱり人体への情念がそうさせているんじゃないか。例に挙げた漫画家の中だと甘詰留太が一番情念溢れる作家だけど。