ルーチン

仕事をしていると胸の奥がむずがゆくなり、ゲホゲホと咳が出た。最近会社でも風邪が流行っており、自分も咳が出た上に背中のあたりが鈍く痛むので、急遽ドラッグストアに薬を買いに出かけた。

日常のルーチンからはずれ、真昼間に街中をぶらぶらするのは心地よく、束の間の自由を満喫しながら葛根湯エキスをレジに持っていくと、レジ打ちのお姉さんが3人いて、3人が3人とも気だるそうな雰囲気でレジを打っていた。よくもここまで気だるそうな人を集めたもんだと、ドラッグストアの店長の趣味とその執念に畏怖の念を抱きつつ、またゆるやかに日常のルーチンへ戻っていった。

会社のドアの前に立ち、束の間の自由というやつにさようならを言いつつ、ドアノブに手を伸ばすと、
「バチッ」
という強烈な静電気に見舞われ、神聖なる自由との別れの儀式を邪魔されたことに憤慨した瞬間、はたと日常のルーチンを逸脱するルーチンに従っていた自分と、それを破壊してくれた静電気の存在に気が付いたので、自由と静電気に感謝しつつ、日常のルーチンに戻って俺は今日も仕事をしていく。